カクテルを完成させる為の「仕込み」(レシピ構築・試技研究)にどれだけ時間を割けるか
影山 清史
Kiyofumi Kageyama
<カクテル アワード 2005受賞>
リーガロイヤルホテル リーチバー サブマネジャー。(一社)日本ホテルバーメンズ協会認定 マスターバーメン。
[主な受賞歴]2005 サントリー ザ・カクテル アワードでカクテル アワード 2005受賞。第18回 HBA/MHD共催カクテルコンペティション 優勝。第16回 ASIA PACIFIC BARTENDER OF THE YEAR COCKTAIL COMPETITION 出場。第28回 H.B.A. CLASSIC 創作カクテルコンペティション・チャンピオンシップ 総合優勝 グランプリ(国土交通省 観光庁長官賞 受賞)。そのほか、国内外のコンペティションにて多数の受賞歴あり。
Q1.
あなたが他のバーテンダーと違うと思う点は何ですか?それはカクテル アワード受賞にどう関係していますか?
私は、コンペティションの結果がバーテンダーの優劣を決めるとは思いません。あくまでも自己研鑽の一環に過ぎませんが、コンペティションで活躍する先達に憧れ「自分もこうなりたい」と思うと同時に、勝負事なので挑戦するなら1番になろうと決意しました。
多数のアプローチがありますが、1日24時間は全ての方に平等にあります。カクテルを完成させる為の「仕込み」(レシピ構築・試技研究)にどれだけ時間を割けるかが大切だと諸先輩方に教わりました。
カクテル アワード受賞者としての矜持を胸に、「かくあるべき」とカウンターに立つことが、皆様への恩返しであり使命です。それが特徴というべきなのでしょうか。(大変苦しい時もありますが……)。
落ち着いている時間にも多忙時の捌く仕事の中にも「魅せる仕事」を織り交ぜる
Q2.
ジャパニーズバーテンディングを追求する上で大切にしていることは何ですか?それを未来に伝えていくために重要なことは何ですか?
「一生一品」を座右の銘に、「今出来る最高の仕事でベストの一杯を創る」ことを信条としております。酒そのものの味わいは勿論ですが、見て味わう楽しさも知って頂きたいので、落ち着いている時間に出来る「魅せる仕事」と多忙時の捌く仕事の中にも「魅せる仕事」を織り交ぜ、心地良い空間を提供するのが目標です。
日本の職人気質的な「心」は目に見えず、言葉にしたり、数値化するのが難しいです。「勘」・「道」・「おもてなし」などを、理解されるのは簡単ではないでしょうが、世界の注目が集まる今こそ、日本の伝統やバー文化に触れ、体現していただく絶好のチャンスではないでしょうか。
味覚・嗅覚に訴えると共に視覚や聴覚にも訴えかければ、お客様の記憶に残りやすい
Q3.
時代を超えて飲み継がれるカクテルの要件は何ですか?カクテルコンペティションは今後どうあるべきですか?
「分かりやすいネーミング」「シンプルな材料の組み合わせ」「バランスのとれた味わい」「トレンドにあったレシピ」などが、過去の作品やスタンダードカクテルからひも解くと挙げられますが、マルガリータのようにカクテル誕生のエピソードから大ヒットした例もありますので、そこにフォーカスすることも大切ではないでしょうか。
また、SNSの普及により、VR(バーチャルリアリティ)に特化した「参加型」に変化させても面白いと思います。味覚・嗅覚に訴えると共に視覚や聴覚にも訴えかければ、お客様の記憶に残りやすいのではないかと思います。伝統や権威は保ちつつ、新技術を取り入れたコンペティションを想像するとワクワクします。
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